人の一生にはいくつもの節目があります。昔から私たちのご先祖さまは、折々に子どもの成長や家族の無事を祈り、感謝をささげてきました。この人生のまつりを人生儀礼といいます。
着帯の祝いと安産祈願
子宝に恵まれたことを神さまに感謝し、懐妊5ヶ月目の戌(いぬ)の日に安産祈願を行い、帯祝いをします。
「5ヶ月目」というのは、胎児が安定する時期であり、5は縁起の良い数字だからといわれています。また、「戌の日」が選ばれるのは、犬が多産で安産であり、古くから邪気を祓う動物であることにちなんでいます。そして、「岩のように丈夫に育ちますように」との意から、「岩田帯」(いわたおび)をしめます。岩田帯の語源は「斎肌帯」(いはだおび)ともいわれ、「胎児を保護しその位置を安定させる」、「お腹を冷やさない」、「胎児が育ちすぎない」などの効果がありますが、母親にとって精神的・心理的な安心感などの効果もあります。
腹帯は、加工して「おしめ」や「産着」として使うことにより、真心や感謝の念が生まれてきます。
鎌倉時代、源頼朝公(みなもとのよりともこう)は、妻政子の実朝(さねとも)出産に際し安産祈願のため当社に神馬(しんめ)を奉納したという来歴があります。
※安産のご祈願は、随時承ります。
→戌の日カレンダーを見る【PDF:64Kb】
帯のまき方
- 端を内側にして、包帯を巻くように1周まきます。
- 一番端の巻き始めの部分を中に折りこんで2周目をまきます。
(あまりきつく締めないよう注意してください) - 真ん中あるいは脇で上に折り曲げ、さらに腰に回します。
- 3 の折り曲げ方を繰り返し、下から上にまき上げます。
- 完成
端は安全ピンで留めても構いませんが、嫌な方は折り曲げて中に折込むと良いです。
産湯(うぶゆ)
赤ちゃんが生まれてすぐに浴びる湯のことを産湯(うぶゆ)といいます。産湯は、生まれた土地の神さま“産土さま”(うぶすなさま)が守られる土地の水のことで、出産の穢(けが)れを祓清め、生命の発展を祈ります。また、産子(うぶこ)の仲間入り(氏子)を意味します。地方によっては、お酒や塩を産湯に入れて健やかな成長を祈るしきたりもあります。
産着(うぶぎ・産衣)
産湯をつかわせた後は、袖や紐のないおくるみにくるみます。生後3日目になると「三つ目(みつめ)のお祝いをして、初めて袖のある衣服「産着」(うぶぎ・産衣)に手を通します。
お七夜と命名
赤ちゃんの名前は授かった7日目のお七夜(しちや)に付けるのが昔からの習わしです。一般に名付けは、両親や祖父母、尊敬している知人や仲人さん等にしてもらいます。赤ちゃんの名前は、心をこめて命名書(めいめいしょ)に墨書(ぼくしょ)して神棚(かみだな)に供(そな)えます。その期間は、お七夜から初宮参りまでの約1ヶ月くらいが適当です。
※命名についてのご相談は随時承ります。
出生届は、出生の日から14日以内(国外で出生したときは3カ月以内)に届書を作成し、子どもの出生地・本籍地又は届出人の所在地の市役所、区役所又は町村役場に届け出ます。
初宮参り
赤ちゃんが初めて神社にお参りすることを「初宮参り」「お宮参り」といいます。男子は31目、女子は33日目というのが一般的ですが、赤ちゃんは抵抗力が弱いので、体調や天候を計らって日を選び、お参りするのが良いです。多くの場合、母方から送られた祝着(いわいぎ)を身に付け、父親のお母さんに抱かれて家族揃ってお参りします。
お宮参りは、赤ちゃんを無事授かったことに感謝するとともに、お産の忌み明けと氏子の仲間入りの意味があります。親は子どもの健やかな成長を祈りますが、命の尊厳をあらためて確認し、夫婦や家族の絆を深く結びつけるとても大切な機会になります。
※初宮参りのご祈願は、随時承ります。
お食初め
生後100日目(または120日目)頃の首がすわる時期に、食膳を準備して初めて子どもに食べさせる(実際には食べるまね)内祝いの儀式です。百日(ももか)の祝い、箸初め(はしぞめ)、箸揃え(はしぞろえ)などともいい、一生幸せに育ち、食に困らないようにとの親の願いが込められています。膳には、赤飯の他に尾頭(おかしら)つきの魚や小石を入れますが、これは固い丈夫な歯が生えるようにとの祈りが込められています。
※「初宮参り」ご祈願のお下がり品(初穂料7,000円以上)には、お食い初め一式が付いていす。
初節句
生後初めての節句(せっく)のお祝いで、縁起物を贈る習わしがあり、赤ちゃんの健やかな成長をお祝いします。男子は5月5日の端午(たんご)の節句、女子は3月3日の雛祭り(ひなまつり)に行います。
端午の節句には、鯉幟(こいのぼり)・菖蒲(しょうぶ)・武者人形(むしゃにんぎょう)を飾り粽(ちまき)や柏餅を供えます。菖蒲と尚武が同音であることから、5月5日が男子の節句にりました。鯉幟は立身出世を、武者人形は男らしくたくましく成長するように祈りが込められています。また、菖蒲湯につかるのは、邪気(じゃき)を祓って心を清め、火災を除くためといわれています。
雛祭り(または桃の節句・上巳の節句という)には、雛人形を飾り、白酒(しろざけ)・雛あられ・菱餅(ひしもち)などを供えます。古くは人形(ひとがた)で体をなでて身の穢(けが)れを負わせ、海川に流す風習がありました。現在でも「流し雛」を行っている地域もあります。
→古い人形のお取り扱いについてはこちら
五節句
1月7日 | 人日(じんじつ)の節句 この日の朝、七草(せり・なずな・ごぎょう・はこべら・ほとけのざ・すずな・すずしろ)の入った粥(かゆ)を食べて無病息災を祈ります。 |
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3月3日 | 上巳(じょうし)の節句 |
5月5日 | 端午の節句 |
7月7日 | 七夕(しちせき)の節句 織女祭(しょくじょさい)、星祭ともいわれます。短冊に歌や願い事を書いて飾り、書道や裁縫、技芸の上達を祈ります。 |
9月9日 | 重陽(ちょうよう)の節句 菊の節句、重九(ちょうく)ともいいます。九は最大の陽数にあたることから、不老長寿を願う風習があります。江戸時代には、五節句の中で最も公的な行事となり、菊を浮かべお酒を酌(く)み交わして長寿を祝い、詩歌をつくりました。 |
七五三参り
7・5・3の陽数を男女児の年齢に当てはめたもので、3歳男女児の「髪置」(かみおき=それまで剃っていた髪を伸ばしはじめる)、5歳男児の「袴着」(はかまぎ=袴を着け始める)、7歳児の「帯解」(おびとき=付け紐の着物から帯でしめる着物にかえる)という儀式に由来します。
七五三参りは、これまでの成長に感謝し、さらなる無事成長を祈るもので、11月15日にお祝いをします。11月15日に祝うことになったのは、この日が二十八宿(にじゅうはっしゅく)の鬼宿日(きしゅくにち)にあたり、何事の祝い事にも最良の日であることによります。
7歳までは節目となる多くの儀式が行われますが、昔から「七つまでは神の子」といって、神さまと人との変わり目に位置するからです。
七五三に欠かせない「千歳飴」の袋には、鶴・亀・松・竹・梅などが描かれていて、幾久しく健やかな成長の願いが込められています。社頭では、10月〜11月頃お祝いの千歳飴(県内製)の準備をしています。
※七五三参りのご祈願は、11月15日前後に随時承っています。昔は数え年で行いましたが現在は満年齢で行っています。
十三参り
十三参り(じゅうさんまいり)とは、数えで13歳になった男女がお宮にお参りすることです。昔は13歳が成人式を迎える前の大切な年と考えられていました。関西では盛んに行われています。
入学・卒業・就職の奉告
現在では年齢の節目にあたる人生儀礼に加え、生活の環境が大きく様変わりする節目として入学・卒業・就職などがあります。風の音や土のにおい、鳥や虫の鳴き声を感じる、深い静かな緑の杜で、これまでの感謝と今後の発展を祈ることは、新たな決意や希望を抱き、心の安らぎも与えてくれることと思います。
※新入学児童安全・ランドセル清祓・学業成就・就職(事業)安全・報賽(ほうさい=感謝のまつり)など各種ご祈願は随時承っています。
成人式
現在では男女とも20歳になると、大人の仲間入りを果たしますが、先ずはお宮にお参りをしてお祝いします。成人の日は、もとは旧暦の小正月にちなんで1月15日でしたが、今は1月第2月曜日となっています。昔、男子は15歳、女子は13歳で元服(げんぷく)といい、髪型・服をあらため、頭に冠を加える(加冠)などの儀式を行いました。元は首・頭、服は着用する意です。社会人の一員としての自覚と責任を決意する大切な節目です。
※成人式のご祈願は随時承っています。
神前結婚式
神前結婚式は、明治33年(1900)5月10日、皇太子嘉仁(よしひと)親王殿下(後の大正天皇)と九条節子(くじょうさだこ)さま(後の貞明皇后)が、宮中三殿(きゅうちゅうさんでん)の賢所(かしこどころ)で挙げられた「御結婚の礼」をもとにして、翌年、日比谷大神宮(現在の飯田橋・東京大神宮)で行われ、一般に広まりました。
それまでは、床の間に「伊弉諾神・伊弉冉神」(いざなぎのかみ・いざなみのかみ)や「天照大御神」(あまてらすおおみかみ)の神号(しんごう)の掛軸(かけじく)を掛け、両側に真榊(まさかき)を立て、お供え物や盃(さかずき)などを準備して家庭で行われていました。現在は、ホテルや結婚式場で行われることもありますが、日本古来の神まつりの姿や心は脈々と続いていす。
結婚式は、冠婚葬祭(※かんこんそうさい)の一つであり、人生儀礼の中でも最も晴れやかな行事です。祖先からいただいた「命」を受け継ぎ、「むすび」によって新しい命を生み出す力をもっています。新生活の出発点となるものですから、派手にならずとも2人の門出を祝い、意義深く行われるべきものです。
※冠婚葬祭(かんこんそうさい)
古来、人生における4大儀礼で、元服(冠)・婚礼(婚)・葬儀(葬)・祖先祭祀(祭)をいいます。
→神前結婚式について詳しい情報を見る
結婚記念日
結婚式では、夫婦の和合(わごう)を神さまに祈りますが、健康で安らぎのある生活を送り、その年輪を重ねた節目に結婚記念日があります。来し方を振り返り、神さまに感謝し、今後も互いに力を合わせて良い家庭を築いていくことを誓い、お祝いします。
主なものに、紙婚式(満1年)、木婚式(満5年)、錫婚式(満10年)、水晶婚式(満15年)、陶婚式(満20年)、銀婚式(満25年)、金婚式(満50年)、金剛石婚式(75年)があります。
厄年
厄年(やくどし)は、災難を蒙(こうむ)る恐ろしい時期というよりは、精神的・社会的・生理的・身体的に転換を迎える時期であり、忌(い)み慎(つつし)むべき年祝(としいわい)として行れてきました。
厄年の年齢は、男性25才・42才・61才、女性19才・33才・37才がこれにあたります。
また、その前後を前厄(まえやく)・後厄(あとやく)といい、男性42才・女性33才が大厄(たいやく)とされます。(“しに”や“さんざん”の語呂から)
古来、日本人は迷信として軽視することなく、人生の転換期に達したことを認知して、更なる飛躍がもたらされることを願い、慎みの中にも精進(しょうじん)を重ねて、生成発展(せいせいはってん)を続けてきたものです。
この節目にあたり、ご神意(しんい)をいただいて、「清く明るく正しく」それぞれの本業に努め、蘇(よみがえ)りの機会にしたいものです。
年齢の数え方は、「数え年」(満年齢に1才加えます。誕生前なら2才加えます。)になりますが、これはお正月に歳神(としがみ)さまを迎えて、一年の始まりとしたことに由来します。ですから、厄祓(やくばらい)を行う時期は、旧暦の正月前に行うのが多いのです。
※厄除のご祈願は随時承ります。
→厄年表を見る【PDF:48Kb】
年祝い
年祝いは長寿のお祝いで、算賀(さんが)、年賀(ねんが)、賀(が)の祝いとも称します。「算は年を数えることから年齢を意味します。因みに、天皇の年齢を宝算(ほうさん)・聖算(せいさん)といいます。
算賀は、40才を「初老」(しょろう)といい、10年ごとに、50才を「五十の賀」(いそじのが)、60才を「六十の賀」(むそじのが)、または「下寿」(げじゅ)、70才を「古稀」(こき)、80才を「傘寿」(さんじゅ)、または「中寿」(ちゅうじゅ)、90才を「卒寿」(そつじゅ)、100才を「上寿」(じょうじゅ)といいます。
年を祝う風習は、後に中間の端数も加わり、61才を「還暦」(かんれき)、または「本卦還り(ほんけがえり)、77才を「喜寿」(きじゅ)、81才を「半寿」(はんじゅ)、88才を「米寿」(べいじゅ)、99才を「白寿」(はくじゅ)、108才を「茶寿」(ちゃじゅ)、111才を「皇寿」(こうじゅ)と称して祝うようになりました。